この記事は、以下のような方に読んでいただきたいです。
- 月々の医療保険代が高い!
- 民間の医療保険って本当に必要?
- 高額療養費制度って何?
- 健康保険のデメリットは?
あなたは”高額療養費制度”を知っていますか?
高額療養費制度とは、健康保険(公務員:共済組合、自営業:国民健康保険 など)にもともと備わっている機能です。
結論、もしも病気やけがをして入院することになっても、高額療養費制度を利用すれば民間の医療保険に加入する必要はありません。
つまり、今加入している民間の医療保険を解約することで、月々の保険代を丸々節約できるということです。
この記事では、民間の医療保険が必要ない理由について以下の2つの観点からご説明します。
- 健康保険の高額療養費制度を利用する
- 浮いた医療保険代を貯金する
また、健康保険のデメリットについてもご紹介します。
デメリットまでしっかりと理解した上で、民間の医療保険を解約するか判断してください。
それではまず、健康保険と医療保険について軽くご説明します。
ぜひ最後までご覧いただけると、嬉しいです。
健康保険と医療保険
健康保険とは?
あなたは健康保険証をお持ちですか?
もしもあなたが会社員なら、会社から配られた健康保険証をお持ちだと思います。
そして、毎月の給与から”健康保険料”という項目にて税金を引かれているはずです。
あなたは知らず知らずのうちに、健康保険という公的医療保険に加入しているのです。
健康保険は”公的医療保険”の一種です。
公的医療保険とは、病気やケガをしたときの医療費の一部が軽減される制度であり、職業や勤務先によっていくつかの種類があります。
代表的なものを以下にまとめましたので、自分がどれに当てはまるかを確認しておきましょう。
種類 | 国民健康保険 | 健康保険 | 共済組合 |
対象者 | 自営業 | 会社員 | 公務員 |
医療保険とは?
医療保険には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 国や組合などが医療費の一部を負担する公的医療保険
- 保険会社が医療費の一部を負担する民間の医療保険
本記事では、医療保険とは「民間の医療保険」を指すこととします。
医療保険は、主に”入院給付金”と”手術給付金”をメインに保障し、将来の病気やケガに対する経済的なリスクに備えるものです。
それでは今から、”民間の医療保険”に加入する必要がない理由をご説明していきます。
民間の医療保険が必要ない理由
1.高額療養費制度を利用する
健康保険には”高額療養費制度”という機能があります。
以下、高額療養費制度についての説明です。
■高額療養費制度について
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」(こうがくりょうようひせいど)があります。
上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみも設けられています。
出典元:厚生労働省
要約すると、医療費が定められた上限額を1か月以内に超えた場合、超えた分は全額負担されるという制度です。
では、上限額とはいくらなのでしょうか?
以下の図をご覧ください。
高額療養費制度の上限額はあなたの所得によって変化します。
ここではイメージしやすいように、年収の範囲ごとに上限額を記載しています。
以下、2つのケーススタディを用意しましたので参考にしてください。
■ケーススタディその1:年収300万円の会社員
この場合、医療費や入院費に20万、30万円、さらに100万円かかったとしても、負担しなければいけないのは57,600円のみということになります。
■ケーススタディその2:30万円の手術代・入院代がかかった年収500万円の会社員
この場合、あなたが負担する金額の計算式は以下の通りになります。
80,100円+(300,000円-267,000円)×0.01 = 80,430円
つまり、あなたが負担しなければいけないのは80,430円のみです。
では、なぜ医療保険に払うはずだったお金を月々貯金に回した方がお得になるのでしょうか。
これから詳しく説明します。
2.医療保険代は貯金した方がお得
ここでは医療保険の掛け金を月々5,000円と仮定します。
結論、医療保険を解約して月々5,000円を貯金に回し、いざという時はそこから医療費をまかなうのが一番お得な方法です。
医療保険や生命保険など、民間の保険の内訳には”運営経費”が含まれています。
運営経費とは、保険会社や代理店の人件費や店舗費などの保険屋さんの儲けとなる費用のことを指します。
この運営経費は、月々の保険料のうちの50%程度を占めるというデータがあります。
(運営経費について)大手保険会社の死亡保険では50%程度と試算されているものもあります。
出典元:生命保険の嘘 後田亨 大江英樹 著
運営経費が月々の保険料のうちの50%程度を占めると仮定し、医療保険の内訳をグラフに表しました。
つまり医療保険に加入する場合、単純に月々2,500円は保険屋さんの懐に入ることになります。
運用経費はあなた自身への保障でもなく貯金にもならない、純粋に「保険屋さんに支払っているだけのお金」です。
自分に見返りのない費用ですので、払わないに越したことはありません。
繰り返しになりますが、医療保険を解約して月々5,000円を貯金に回し、いざという時はそこから医療費をまかなうのが一番お得な方法なのです。
健康保険のデメリット
健康保険の最大のデメリットは、先進医療が適応外だということです。
一方で、医療保険には”先進医療特約”というものがあり、月々の掛け金にプラス何百円かで、先進医療にも保険が適応できます。
ちなみに、先進医療とは以下のような治療のことを指します。
- 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術(約30万円)
- 陽子線治療(約277万円)
- 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(約55万) 等
出典元:厚生労働省
先進医療特約をつけた医療保険に加入していない場合、上記のような先進医療は自腹になります。
実はそうとも言い切れないのです。
以下の表は「令和元年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」(出典:厚生労働省)を参考に、先進医療に関する1年分のデータをまとめたものです。
※令和元年度 | 計 |
先進医療技術数 | 88種類 |
実施医療機関数 | 1,184施設 |
全患者数 | 39,178人 |
1年間で先進医療を受けた患者は全部で39,178人です。
日本の人口が現在約1.25億人ですので、日本人口における先進医療を受ける患者数の割合は以下の計算式で求められます。
3万9千 ÷ 1.25億 × 100 = 0.0312%
つまり、日本国内の約10,000人に3人が先進医療を受けていることになります。
0.03%という数字を高いと思われるか低いと思われるかはあなた次第です。
参考程度ですが、0.03%というのはどれくらいの確率なのか、身近にあるもので例えてみました。
- ゴルフでホールインワンが出る確率:0.044%
- 裁判員制度で選ばれる確率:0.011%
出典元:日本ゴルフツアー機構|裁判員裁判の実施状況等に関する資料
これらの事例を見ても、先進医療特約を付けた医療保険への加入はあまりにも低い確率への投資だと思います。
余談ですが、生涯で交通事故にあう確率はなんと31%です。(出典元:警視庁交通年間)
自動車保険は確実に加入するようにしてください。笑
実際に医療保険を解約してみた
こちらも余談にはなりますが、私が医療保険を解約したときの苦労話を紹介します。
興味がない方は飛ばしてください。
高額療養費制度の存在を知った私は、ある日担当の保険屋さんを呼び出し、医療保険を解約したい旨を伝えました。
保険屋さんはとにかく「いざという時」という言葉を連呼し、言葉たくみに私の不安を煽って解約を止めようとしてきました。
正直「本当に解約してもいいんだっけ」という気持ちに駆られましたが、高額療養費制度や運営経費の実態について勉強していたおかげで、なんとか解約に踏み出すことができました。
あなたが医療保険を解約しようとしたら、保険屋さんは必死に止めようとしてくるかもしれません。
そんなときは、この記事に書いてあることを思い出してみてください。
あなたの背中を一押しできるような記事となれば光栄です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事の内容をもう一度まとめてみましょう。
- 医療保険には”公的医療保険”と”民間の医療保険”がある
- 高額療養費制度とは一定額以上の医療費を全額負担してくれる制度
- 保険の掛け金には、保険屋さんの儲けとなる”運営経費”が含まれる
- 医療保険を解約して浮いた分を貯金に回し、そこから医療費をまかなうのがベスト
- 健康保険のデメリットは”先進医療”に適応しないこと
- 先進医療を受ける確率は約0.03%(10,000人に3人)
高額療養費制度の存在を知る人は多くありません。
しかし高額療養費制度を知っているだけで、月々5,000円程度の無駄なお金を払い続けなくて済みます。
日本はお金の勉強を積極的にしません。
ましてや、お金の勉強をしていない両親は、子どもにお金の知識を与えることはできません。
つまり、よっぽど優秀な家庭に生まれない限り、私たちは自分の財産は自分で守り、自分で築くしかないのです。
まずはお金について学ぶことをめんどくさがらず、自分の月々の収入と支出をしっかりと把握するところから始めましょう。
この記事があなたの人生の一助となりますように。